NOTE

制作ノート

今作で一番苦労したことはギターの音色作りです。
楽器選びから始めたそれは長期に渡るレコーディング期間の大半を占めました。
本篇に佐藤紀雄先生にご執筆いただいた作品解説を掲載しておりますので、ここでは制作の道筋を少し記します。

Music for pieces of wood

1973 年に発表された「木片の音楽」。
アルバム構成の中ではリズムを表す作品です。
本来音程の指定されたクラベスのために作曲された作品ですが、きっとギターに合う、と閃いたことから始まりました。

もともと「木片」のための音楽なのでギターで演奏するためには編曲が必要です。
コンタクトを取ったところ、編曲の許可はなかなか下りないので他のレパートリーの準備を勧められましたが、その頃には初めの閃きが確信に似た自信に変わっていましたので臆せずチャレンジしました。
結果、諸々のステップを踏んだ後、原出版社のUniversal Edition AG様より編曲・録音の許可をいただくことが出来、大変光栄な作品となりました。
未だに許諾をいただいた時のことを思い返すと全身に鳥肌が走ります。

実音ではなくミュートで演奏することによりカリンバのようなアタックになり、ギターの弦はスコアに記されている豊かなハーモニーを露にしました。
刻み続ける音の粒は倍音を増幅させ、うねるようなグルーブを生み出しました。

Nagoya Guitars

2台のマリンバのために作曲されたNagoya Marimbaを2本のギターのために編曲された作品です。
アルバム構成の中では旋律を表す作品です。

構成する要素が特にシンプルで、近年のライヒの作品には珍しく、少ない楽器のために書かれている作品。
小編成の合奏なのでライヒの手法が聞こえやすく、濃縮された魅力が詰まっています。
2本のギターが交差する様はドラマティックで高い緊張感を持つアンサンブルとなりました。

Electric Counterpoint

クラシック?現代音楽?ミニマル?テクノ・・・?よく分からないけれど、とにかくカッコいい!
高校時代に初めて聴いたエレクトリックカウンターポイントに抱いた印象です。
この曲に出会った時の強烈なインパクトが本作制作の根底にある原動力だと改めて感じています。
ライヒの音楽をきっかけに現代音楽やミュージックコンクレート、エレクトロニカ等を聴き始め、エレクトリックカウンターポイントを演奏するためにDAWを始めました。

iPodでシャッフル再生をした時に、テクノやハウス、エレクトロニカやポストロック、ヒップホップと繋がっても違和感のない音色にこだわった今作の集大成、ハーモニーを表す作品です。
ライヒがギターのために作曲した作品が「エレクトリックカウンターポイント」であることが奏者としてとても嬉しい。