エレクトリックギターによるスティーヴ・ライヒ作品集によせて
スティーヴ・ライヒの作品にある高揚感や美しさ、格調高さは何度弾いても新鮮な驚きがあります。
ギター奏者として初めてのソロ作品を考えるにあたり、敬愛する作曲家の作品集にしようと決めることはたやすく、まるでずっと前から決まっていたように自然なことでした。
ライヒの作品はこれまで数多くの演奏家により演奏、録音されていますが、エレクトリックギターのみで制作されたアルバムは珍しく、日本国内ではおそらく初めての試みではないかと思います。
緻密で美しい手法で作られるライヒの作品は、現代音楽やクラシックというジャンルを超え、テクノやエレクトロニカ、ポストロック、ヒップホップなど多くの音楽ジャンルへ影響を与えています。
今作はライヒの作品から影響を受けた音楽から更に影響を受け、現代的な音色や音圧にこだわって制作しました。
僕はミニマルミュージックがとても好きです。そして、ライヒの作品をグルーヴ感溢れるダンスミュージックのように感じています。
レコーディングはピッキングに混じるノイズや微少な音色の変化を極力なくし、スコアに記載されているグルーヴが浮き上がるように細心の注意を払って行いました。
それはとても根気を強いられるものでしたが、ミックスエンジニアNerve(antennasia)さん、マスタリングエンジニアKIMKENさんにお力添えいただき理想としていた作品が出来ました。
本作がライヒの作品を楽しむ新しいひとつの方法になることを願っています。
2014年11月 タケムラヤスシ